兼業農家の米づくり

私は、兼業農家です。日頃より、安心・安全なおいしい米づくりをしたいと思っていましたので、令和元年にあわせたわけではありませんが、以前より興味がありました「還元塩ミネラル農法」(圃場に塩をまいて米を作る)で米を栽培してみました。結果は、食味についても良好で、農薬の削減もできました。というわけで、令和2年は還元塩ミネラル農法+αでパワーアップし、特別栽培米の基準、農薬5割削減・化学肥料5割削減を目標として、スタートします。

米づくりの革新:有機農業と新品種の導入

 本格的に、令和6年産の米づくりをスタートさせました。

 今年の変更点は、①作付の一部を有作くんから有作くん100に変更。②作付の一部に新品種「ぴかまる」を導入。

 有作くん100とは、化学合成農薬、化学肥料未使用の栽培で、国の法律による有機農業に該当します。除草剤の代わりにジャンボタニシを利用します。うまくいけば来年は面積を広げようと思います。

 ぴかまるは、縞葉枯病及び穂いもち抵抗性を備えた低アミロース米系統「関東221号」と良質・極良食味系統「西海250号(後のにこまる)」を交配した後代より育成した低アミロース米系統です。

 にこまるの栽培しにくい欠点、徒長のしやすさや穂高による倒伏が改善され、縞葉枯病及び穂いもち抵抗性を受け継ぎ、にこまるの良食味に加え低アミロース米特有の粘りの強い特徴があります。

 よって、今年の作付けは、

①にこまる    13a 有作くん100

②ぴかまる    27a 有作くん

③くまさんの輝き 40a 有作くん

になります。

 

 昨年は、天気が悪く田植え直前に塩とオイスターミネラルを散布しましたが、今年はオイスターミネラルに変えケイカル(ケイ素資材)にしましたので、先日早めに散布しました。

10aあたり塩20kg、ケイカル60kgの割合で混合

散布しながら耕起していきます

 今年は、昨年以上天気が悪く、3月から雨が多く、晴天が続かないため田んぼが乾きません。昨年からサブソイラーで塩を散布するようになって良かったと思います。ぬかるみのなか、手で散布することを思うと。

 5月、連休明けから種籾の消毒、種まき、有機肥料の散布と忙しい日々が続きます。

にこまるの稲刈り

ライスセンターのコンバイン

 10月8日稲刈りの予定でしたが、久々の雨で翌日9日に行いました。雨が思ったより酷く、稲は倒れるは田んぼはぬかるむは散々でしたが、ライスセンターのコンバインが大型で、スムーズに終了しました。

 収量は、くまさんの輝きが7.6俵/10a、にこまるが8.8俵/10aでした。今年の目標は、10a当たり8俵でしたが、くまさんの輝きが目標まで行きませんでした。くまさんの輝き、にこまるともにまったく同じ作り方をしていますのでどうして差が出たのかわかりません。

 ところで、今年の高温ですが、高温障害に強いくまさんの輝き、にこまるでしたので、高温障害はみられませんでした。また、平均気温が例年に比べ高く推移しましたが、積算温度をチェックしていましたので対応することができました。

 早速、来年度に向けてGPペレット(牛糞堆肥)、籾殻を散布して稲殻をすき込んでゆきます。

生育状況

 10月1日の生育状況です。

くまさんの輝き

 くまさんの輝きの稲刈りは、10月3日の予定でしたが。平均温度が高く推移してきましたので、明日、10月2日に行います。

にこまる

 にこまるの稲刈りは、10月11日の予定でしたが、10月8日に変更しました。

 くまさんの輝きとにこまるの草丈の比較です。

くまさんの輝きの草丈

にこまるの草丈

 くまさんの輝きが10センチほど低く、これが倒伏に影響してきていると思います。

 今年は、幸い台風の被害を受けていませんが、来年以降のことを考えると、くまさんの輝きに切り替えたいと思っていましたが、にこまるの注文が多く、1圃場にはにこまるを作つけしようかと思っています。

 

ウンカの被害

 くまさんの輝きを栽培している2枚目の圃場です。今日、朝から草丈の写真を撮りに行った時、気付きました。赤マルで囲んだ部分です。昨日は、気付きませんでした。

 隣の圃場(右側)は、毎年ウンカの被害があっています。慣行栽培で、防除はドローンです。ドローンの防除は、あまり評判がよくありません。

 明日、稲刈りですので被害は最小で済みそうですが、特別栽培では、農薬をほとんど使いませんので有効な手段がありません。地道に努力するしかありません。

今年の化学農薬使用カウント

苗箱処理剤と除草剤

 今年は、種籾の消毒を温湯消毒に変えましたので使用した化学農薬は、苗箱処理剤のブイゲットフェルテラチェスL粒剤の3成分と除草剤のカウンシルコンプリートの2成分の合計5成分となります。

 熊本県の基準は19成分ですので、(19-5)/19=0.73で7割削減になります。

9月18日の状況

くまさんの輝き

 8月27日に出穂しました。刈り取りの予定日は、積算温度950℃で10月3日の予定です。ただし、今年は気温が高いので早まるかもしれません。

 

にこまる

 8月29日に出穂しました。刈り取りの予定日は、積算温度1050℃で10月11日の予定です。写真にはもう写っていませんが、今年は隣の田んぼに飼料用のとうもろこしを作付されました。防除もほとんどされず害虫の影響を受けていましたが、出穂後、カメムシの影響を一番受けるときに刈り取られたので、居場所がなくなりカメムシをはじめ害虫が一挙に押し寄せてきました。

 特別栽培の基準では、4成分までは、化学農薬を散布はできますが、100%玄米に残留農薬が残りますので農薬の散布はしませんでした。

 昨年は、台風、今年が害虫となかなか思うように行きません。

令和5年産の状況・続き

種籾の消毒方法 化学農薬使用から温湯消毒へ変更

 種籾の消毒に、農薬を使用しない温湯消毒に変えました。温度60℃のお湯に10分間浸します。そのために、ヤッフーオークションで中古の湯芽工房という専用機を落札しました。

温湯消毒機の湯芽工房。0.1℃単位で温度調整ができます。

このようにして、10分間浸します。

10分浸したあと、籾を冷やします。

5日間(積算100℃・日)浸して芽を出します。

 温湯消毒により化学農薬成分を2減らしました。

 

塩の散布方法 手で撒いていたのをトラクターで散布

 省力化のため、これまたヤッフーオークションでグランドソワーを落札しました。

ラクターの前に装着します。

 今年のように雨が多く、ぬかるみの田んぼを歩かなくてすみました。

 持続可能な農業を行っていくためには、機械への投資も必要です。

 

穂肥(追肥)の実施 出穂の20日前に味まる4号を散布

 元肥のマルイ有機だけでは、10aあたり7.5俵の収穫で、化学肥料を使用していたときの8.5俵に届きませんので、今年は、穂肥を行おうと思います。

有機肥料の「味まる4号」です。

 

令和5年産の状況

 令和4年産は、台風14号の風で散々な結果でした。さて、今年はどうなることでしょうか。

 昨年と比較して変更点を説明します。

①品種の追加 くまさんの輝き

②種籾の消毒方法 化学農薬使用から温湯消毒へ変更

③塩の散布方法 手で撒いていたのをトラクターで散布

④穂肥(追肥)の実施 出穂の20日前に味まる4号を散布

以上が変更点になります。

 

①品種の追加 くまさんの輝き

 くまさんの輝きの特性

・極良食味(特に粘りと光沢が良好)。
・高温障害にも強く、1等米比率が高い。
・丈がヒノヒカリに比べ7~8cm低く、倒伏しにくい。
・穂数が多く、収量性が高い(ヒノヒカリ比 107%)。

以上を期待して、「にこまる」と「くまさんの輝きを」を植えています。

左がくまさんの輝き、右がにこまる

 くまさんの輝きに比べて、にこまるの苗は貧弱にみえます。

 

くまさんの輝き(6月17日田植え)

にこまる(6月24日田植え)

 今日現在の状況です。田植えは1週間の差がありますが、苗の分けつから言えばくまさんの輝きの方が進んでいます。にこまるは、苗の時から徒長が見られていましたので田植え後軽く干しましたのでその分成長が遅れている感じです。

 栽培のしやすさからいえば、くまさんの輝きですが、評判では食味があまり良くないという話を聞きますので、米を購入してもらっている皆さんに、にこまると食べ比べてもらい、来年の品種を決めたいと思います。